「届くかな、この歌」
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巨大構造物と少女シリーズの第五弾。
音響機器メーカーTOAが昭和37年に実験的に開発したこの口径3m、全長6.6mの巨大ホーンは、16個ものドライバユニット、4200Wのアンプを用いて、最長12km先まで音を届けることができたという。詳しくはこちらの記事「ソーシャルデザインとしての音」が、実際にインタビューをしており詳しい。
スピーカーの形状は写真が残っているものの、アンプに関しては遠目ではわからず、仕方なく想像で描くことにした。この巨大シリーズはなるべく実物を正確に描く(3Dでモデリングをしてスケール感も正確にする)という狙いがあるので、やや腑に落ちない絵になってしまったが、構図はけっこう気に入っている。あと何気にエフェクターも作りこんでいるのだが、ほとんど見えなくて残念な結果に。ちなみにエフェクターはDAITA(元SIAM SHADE)のセットを参考にさせてもらった。
これを描いているときにふと思い出したのが、小学校のころに所属していた放送部である。なにも入る部活がなくて適当に選んだのだが、朝は他の生徒より1時間は早く登校し、全生徒が下校してから帰るという日々で、地味につらい活動だった。そのうえやることはほぼルーチン化。朝の登校時はヴィヴァルディの「四季」やチャイコフスキーの「くるみ割り人形」、下校時にはトロイメライや赤とんぼなどお決まりの曲を流すだけ。最近の学校では給食時などにJPOPを流すところもあるらしいが、私の時代にはそんな自由はなく、すべてが決められたテープを延々と流すだけであった。
朝には「今日は何の日」という原稿を読み上げるのだが、これも何年も変わらず行われていた。その証拠に台本はボロボロ。数人のメンバーで日替わりで読み上げるのだが、朝の放送なんて誰も聞いちゃいないと思っていて適当に読んでいたら、それを聞いた先生が「真面目に読め!」と怒鳴り込んでくるというエピソードもある。いったい誰の為に放送しているのだろう。先生のためだろうか? そんな気持ちを見透かされたかのように、ある日顧問の先生にこう言われたことがある。
「放送は、学校の端から端まで聞こえるようにはっきりと言わないといけない。なぜかって? たとえばグラウンドの端の鉄棒で遊んでる子は時計が見えないだろ? お前たちの放送だけが頼りになるんだ」
今でもこの言葉を覚えているくらい感動したのだが、その後部活を真面目にしたかといえばそうでもない。美談で終わらせられなくて残念であるが。
放送局には「コールサイン」という、どこが発信しているかを認識するコードが割り当てられている。本来は規則があるものだが、学校の放送部くらいであれば適当に名乗ってもよいらしく、くだんの放送部でもHBC(学校の頭文字 + Broad + cast )というコードを放送後に口頭で言っていた。そんなわけでこの記事の最後もオリジナルのコードを発信して終わりたい。
MHBC(Munakata + Hisatsugu + Broad + cast )