【音の日】喫茶店にて
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12月6日は音の日だという。エジソンが蓄音機に録音・再生に初成功したのがこの日なのだとか。エジソンの時代の蓄音は筒形の形状をしたものであり、イラストのような円盤形のレコードとは違うのだが、それはさておき。
現代ではレコードなど一部の蒐集家が楽しんでいるだけだろうと思っていたところ、大型電気店でレコードプレイヤーがずらりと並んでいるのを見かけた。形状こそ昔のままではあるが、機能としてはUSBでPCに転送(デジタル化)できたり、Bluetoothでワイヤレス機能があったりと、中身はずいぶんと進化しているようである。
詳しい人に聞いてみたところ、最近またレコードの流行の兆しがあるのだという。カセットテープやCDに押されて生産が減少、デジタル化の波で完全に下火になったものの、アメリカを中心にした復興の動きがあり、今では日本でも右肩上がりの需要なのだとか。私も気になってレコード店に行ってみたところ、人気声優・上坂すみれの7インチのレコードが置いてあり驚いた。
円盤状のレコードは、盤面に外側から内側へと向けて渦巻状に溝が彫られている。その溝には音を振動に変えて刻まれているのだが、この溝の"幅"にも秘密があり、幅が大きければ大きいほど音が大きく収録できるのだという。エジソン自身もこの音を刻んで録音する仕組みに面食らったらしいが、素人の私ではまるで理屈が分からない。どうして溝に音が記録されるのだろう。ただこの溝に針が走ることで音が鳴る姿はなんとも可愛げで「音が生み出されている」感がある。
最近のテクノロジーを否定するわけではないが、パソコンやスマートフォンで音楽が聴けるのは大変便利ではあるものの、再生している"感覚"はほぼない。ボタン一つで再生できるし、視覚的には画面上のアイコンがクルクルしているだけだ。レコードなら紙ジャケットの隙間からレコードを取り出す、ターンテーブルに置く、針を落とすという行為があるし、カセットテープならデッキにセットし、二つの歯車がクルクル回転する光景が目の前にあった。CDでさえもケースから取り出す際に裏面に指紋が付かないように注意したものだ。そういった音楽を聴くという行為とともに共存した「体験」がそこにあった。デジタルネイティブになっている今の若者や子供たちは、将来どういった音楽の「体験」を語るのだろう。私の子供が大きくなってからぜひ聞いてみたいものだ。