「億の知恵が眠る館」
投稿 / 初出 Twitter
巨大構造物と少女シリーズ第三段。
現時点で世界最大規模の図書館は、書籍だけで数千万冊、資料も加えると億を越えるというワシントンD.C.のアメリカ議会図書館だ。しかし今回のモチーフに選んだのは、アイルランドのダブリン大学内に在るトリニティ カレッジ図書館。図書館全体では約500万冊を収蔵しており、旧館の長さ65メートルもある主回廊には20万冊をも収納しているという。アメリカ議会図書館にある中央閲覧室の荘厳な雰囲気も描きたかったが、スターウォーズの図書館のモデルにもなったというこの長い廊下を描きたくて、巨大シリーズとして登場させることにした。ただ実際よりかはかなり長めの廊下で表現している。
さて、書物というものは言うまでも無く、何かを記した媒体の一つである。古代であればそれは紙とも限らず、粘土板やパピルス、壁画も記録媒体の一種だ。現存する最古の本は、エトルリア語で製本された紀元前500年頃のものだそうで、粘土板ともなると紀元前3300年頃のものが出土しているそうだ。もちろんそれは「現時点で発見されている最古のもの」という意味であって、それ以前に粘土板や本が無かったという意味では無い。
2014年に日立が発表した新たな記録媒体とは「石英ガラス」。
ガラスの表面に文字を刻むのではなく、その内部に小さな点をいくつも刻むことで、ブルーレイと同じ密度の記録が可能になったという。しかも耐熱性、耐水性に優れており、データの保存期間がなんと3億年。ただ弱点もやはりあり、1GBを記録するのに二ヶ月もかかったという。2016年には英国サウサンプトン大学が同じ石英ガラスに情報を詰め込んだガラスディスクを公開しているが、こちらはコイン1枚程度の石英ガラスに、360TB分の記録が格納できたという。
ガラスという身近なものに記録できるとなると、その辺りにある「何気ない物」や「自然物」「液体」にまで記録できるのでは、と想像を膨らませてしまう。実際に、とある条件下において液体にも記録できるという実験結果もあるのだという。さら妄想を膨らませて、はるか昔、太古においてそのような超技術が既にあったとしたら?と考える。現代にまで残っている古代の宝石や古代遺跡、たとえばストーンヘンジのような"石"そのものに、大量に記録が刻まれているとしたら。現代人が記録を読み取る術を知らないだけで、延々と記録だけがそこに眠っていると考えるのもまた一興ではないか。