CLIP STUDIO PAINT からPhotoshop形式(PSD)で保存した際の合成モード(レイヤー効果)について 2022年2月版
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以前から「CLIP STUDIO PAINT PROからPhotoshop形式(PSD)で保存してPhotoshopで開いた場合、(一部特殊な設定をしていた場合に)色味が変わってしまう」という現象がありました。2022年2月現在のCLIP STUDIO PAINT EX/PRO/DEBUT(以下クリスタ) のバージョンは1.11.9が最新ですが、当初この現象を発見した2016年4月(Ver1.5.5)からこの現象は発生しています。私のPhotoshopがCS5というかなり古いバージョンのため、Photoshopのほうがおかしい可能性もあるのですが、改めて図入りで詳細とその対応法を記載しておきます。
合成モード・レイヤー効果の名称の違い
まずは下の図を見てください。
Photoshopにはあってクリスタにはない名称のものは、「ディザ合成」「覆い焼き(リニア)-(加算)」。逆にクリスタにはあってPhotoshopにはない名称のものは「覆い焼き(発光)」「加算」「加算(発光)」。これらを設定して互いのファイルで読み込んだ時、どのようなことになるのか。同じ名称の効果でも何か違いは出るのかを調べていくのが今回の実験です。ちなみにクリスタでは「合成モード」、Photoshopでは「レイヤー効果」と呼称しますが、本記事ではまとめて「レイヤーの効果」と呼ぶ所もあります。
検証方法
左の絵に右のレイヤーを載せて、それぞれの合成モードを設定します。
その際、合成モードを設定したレイヤーを、レイヤーパレットの右上にある不透明度で「50」にしておきます。これが上記で書いていた「特殊な設定をしていた場合」です。特殊と言いながらも、私は頻繁に不透明度を調整して効果を微調整したりしていますし、そのような方も多いようです。
結果
↑これはCLIP STUDIO PAINT PROからPNGで書き出したもの。
CLIP STUDIO PAINT PROからPSD形式で書き出し、Photoshopで開いたものをPNGで書き出したもの。話はそれますが、CLIP STUDIO PAINTとPhotoshopのカラー設定は必ず同じものにしておきましょう。CLIP STUDIO PAINTでは環境設定>カラー変換>RGBプロファイル。Photoshopだと編集>カラー設定>RGBです。「sRGB IEC61966-2.1」がスタンダードでしょう。
さて、こういった間違い探しは、ふたつの画像を重ねて、上のレイヤーに「差の絶対値」を設定すると便利です。
差があるものだけが浮き出ています。どうやら「覆い焼き(発光)」と「加算(発光)」に違いが出ているようです。
「覆い焼き(発光)」と「加算(発光)」の違い
まず「覆い焼き(発光)」はPhotoshop上では「覆い焼きカラー」に変換されていました。「覆い焼き」も同じく「覆い焼きカラー」に。「加算」は「覆い焼き(リニア)加算」になり、「加算(発光)」も「覆い焼き(リニア)加算」になっています。
見比べると違いは一目瞭然。
下のクリスタはギラギラに光ってますが、上のPhotoshopはうっすらと光ってるようなそうでもないような感じです。なぜこのような事が起きるのでしょうか。
理由とその対処
(左)はPhotoshopで読み込んだ時のレイヤーパレットです。クリスタで設定した不透明度「50」が引き継がれており、一見正しいように思えるのですが、これを(右)のように修正する必要があります。
まずPhotoshopのレイヤーには「不透明度」「塗り」という二通りの透明度が設定できます。一つめの「不透明度」というのは"レイヤー効果などもすべて合わせた透明度"なのに対し、「塗り」は"純粋にレイヤーに描写した塗りの透明度"になります。実はこれがポイントで、クリスタの「不透明度」とはPhotoshopの「塗り」のことなのです。つまり、クリスタで「不透明度」を50にしていた場合、Photoshopで開くと「不透明度」が50になっているので、これを100に戻し、「塗り」を手動で50にします。これでクリスタと同じ絵になるはずです。
修正結果
どうでしょう? Photoshopとクリスタでの差がなくなりました。
結論
クリスタで合成モードと共に不透明度を弄った時、かつPhotoshopで読み込む場合はひと手間必要になるので注意しましょう。最新のPhotoshop CCだとどうなるのかはわかりません。
※この記事ははてなブログで公開していたものを再編したものです。