【音楽の日 】「ペンギン・ソング」
投稿 / 初出 Twitter
3月19日は音楽の日ということで、ギター少女を思い付き描き始めたまではよかったものの、完成した絵にはなぜかペンギンがたむろっていた。
なぜこんなことになったのか私にも理解できていない。
ところで絵を描く際にどこまで"現実性"を考慮するかは、イラストレーターは日々苦心している点であろう。この絵で説明すると、座っているのは氷ゆえ冷たいだろうし、濡れるのは必至。ペンギンが居るような寒さなら、手もかじかんで動きにくいし、アコギの弦はとくに指に優しくない。かの巨匠もギター嫌いなのは指が痛いからだという。平沢進という男である。あとペンギンはかなり魚臭いので、その匂いも物ともせず彼女は歌い上げる必要がある。水族館のペンギンの散歩を間近で見るとわかるが、糞の処理も大変だ。総じて、寒い、臭いということになる。炎上するといけないので、私が動物たちの中で一番愛らしいと思っているのは、ペンギンとシロクマであることは強くお伝えしておかなくてはなるまい。
そういうのを全部ひっくるめて、イラストとして描く・描かないは自由だ。「~がないから駄目」「現実的でない」なんて批評がたまに挙がるが、だから何だというのだ。美しいところだけを切り取ってもいいではないか。逆に醜いところを殊更描いてもよい。それがクリエイティブだ。創作だ。全てを説明する必要なんてないし、考慮しなくたっていい。うおおおこの怒りが創作の源だぁ、と独りで憤りを感じていると後ろから妻が言った。
「あ、これはセーラー服と白黒と、ペンギンの白黒を合わせてるんやね」
「...... せ、せやで、それ狙ってたし! 計算通りやし!」