2018 福寿
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この記事を投稿しているのは2月だが、新年用にTwitterへ投稿したものである。正直に告白すると、もともとは落書きで描いていたものを無理に年賀絵にしたため、内容がかなり意味不明である。肉球足袋て。
背後に鏡台を描いているが、鏡台といえば嫁入り道具のひとつとして知られている。果たしてこの現代において、どれだけこの風習が残っているのか興趣は尽きないが、今でも大型インテリアショップでも見かけるため鏡台自体の需要はあるようだ。価格はピンキリではあるが、安くとも2、3万はするようである。
昭和の結婚 (らんぷの本 小泉 和子)でも、桐箪笥や文机、本箱と並んで鏡臺が嫁入り道具の目録として載っており、価格は昭和8年で9圓50銭(現代価格:約17,000円)、昭和27年で5,700円(現:約30,000円)となっている。意外とお手頃な価格だと感じるが、なぜか座布団が五枚で10圓(現:19,000円)もしており、現代の価値観とは若干違っているのかもしれない。
私の母親もご多聞漏れず、三面鏡を調度品として持参しており、団地住まいながら両親の寝室に置かれてあった。だが、私の記憶の中では鏡台の前で化粧をしている姿はなく、私自身の思い入れも当然ない。単に私が男だから、あまり興味が無くて見てなかっただけかもしれない。女性だと何か思い出があるかもと妻に聞いてみたところ、こんなエピソードが返ってきた。
妻が資生堂のノベルティをまとめた本を見ていたところ、数々のノベルティと共に紹介されていたファンタジーミラー(1970年)という鏡が目に留まり、大変驚いたのだという。それもそのはず、それは妻がまだ独身で実家住まいのころ、母親と一緒に利用していた物であったからだ。縁が金色のアールヌーボー風の装飾が施されており、卓上で利用できる簡易な物ながらも、鏡に厚さがあり歪みもなかったのだという。その分、持ち運びするにはやや難があるくらい重かったらしい。高さも40cm程度はあり、化粧の際には顔全体が見えて非常に重宝していたそうだ。ただそれを利用しているときは、資生堂のものとは一切気が付かなかったのだという。本によると、おおよそ八万円分の買い物(現:20万円ほど)くらいの買い物で貰えたノベルティとのこと。それを聞いて私は、親から子へ受け継いでいく素晴らしさに感銘を受けたのだが、妻はしきりに「20万も何に使ったのだろう」と頭を悩ませていた。ま、たしかに。