レモン浴衣
投稿
ここ最近、レモンがパッケージに載ったお菓子を見かける。あまりにも多種多様のものが一気に出ているので作為的なものを感じてしまうが、レモン柄の反物も面白いかもと思い描いたものだ。ところで古来の着物にはレモン柄はあったのだろうか。そもそもレモンはいつごろから日本で認知されていたのだろう。
しらべてみると、日本に初めて檸檬がもたらされたのは明治六年(1873)、静岡で栽培されはじめたのがきっかけだという。だが見ず知らずの果物をいきなり栽培したとは思えず、それ以前より何らかの形で輸入されていたのではないだろうか。その痕跡はどこかにないものかと考えていると、はたとレモンを使った飲料である「レモネード」が思い浮かんだ。レモネードはそれよりも8年早い1865年には長崎で販売され、神戸でも1870年に実業家アレキサンダー・キャメロン・シムが販売を開始したという。ちなみにこの実業家は長崎から移住したようで、長崎での人気を目の当たりにして神戸での商売に乗り出したに違いない。なので、幕末ごろにはこのレモネードを通して、檸檬の存在自体は一部であれど日本人に認知はされていたのではないか、と推測する。
ただ、その頃に黄色のような発色が反物の染めとして再現できたかどうかはやや疑問が残る。また、着物柄は意味や洒落・季節感を含ませることが多いため、広くは知られてはいない果物を着物の柄に使っていたかと言われると、ちょっと考えにくい。とくにレモンは年中収穫できるため、季節感を大事にする着物の柄としてはすこし不適切だ。
とまあ、なんとも臆測ばかりの内容になってしまったが、現代の普段着物や浴衣の柄として「レモン」はいかがだろうか。
出典:「神戸伝来レモネード再び 開港150年新商品次々」https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201706/0010304515.shtml